「半商品」という考え方

shizenoukoku2007-04-30



今回の増刊現代農業のタイトルは
「農的共生社会−自治と自給で「格差」を超える」である。
http://www.ruralnet.or.jp/zoukan/200705kyosei_m.htm


その中に、内山節さんの本に出てくる「半商品」という
言葉がある。
半商品とは、商品として流通はしているが、
それを作る過程や生産者と消費者との関係には、
経済合理主義が必ずしも貫徹していない商品のことをいう


市場経済、産業が発達するにつれて、
大量生産される商品はどんどん個性を失い、
結局のところ、社会を構成するひとりひとりが均質化してしまう。
そして、わずかな差異をとらえて、
「付加価値」という表現で商品を販売するのだ。


その中で、「半商品」という考え方は、
高度産業社会における「商品」を考える上で
一つの有力な考え方となるだろう。
福岡県で、「むすび庵」という直販所をやっている八尋さん
http://musubian.blog.drecom.jp/の言葉で、


「具体的な他者との関係の中で自分の役割を感じ、
働いているときのほうがずっとおもしろい。
(中略)『あいつがやっているのなら』と思っていただける
人間になりたい。」


という言葉があった。
これは、自分も目指したい生き方である。
商品は、全力で仕上げる。
でも、それに加えて
「あいつがやってるんやったら・・・」
と思ってもらえるのは、冥利に尽きるだろう。


王国は、商品というか、農産物というか、
イベントももっと充実させていかねばならない。
でも、その中で一番大切にしなければならないのは、
人やものとの「関係性」だろう。
完成度か、「関係性」か、という話もあるが、
それは車の両輪のようなもので、
その物自身が兼ね備えているべきものだと思う。


最後に、「鳴子の米プロジェクト」を提案している
結城登美雄さんの言葉を紹介したい。


「(このプロジェクトは、)米だけでなく、
農業、農村の問題を私たちの明日の食糧問題と
受け止め、決して他人事とせず、わが家族、
わが隣人の、わが地域の問題として解決を目指す。
わが食料と地域の将来を、国家と市場経済にゆだねず、
そこに関わる人々の思いと力によって支えていく運動である」


「半商品」の考え方が、端的に現れている言葉だ。
半商品化を進めることは、市場経済に反旗を翻すことではなく、
市場経済を内部から空洞化させる可能性を秘めている行動だ。


(「半商品」についての出典:「創造的である」ということ〈上〉農の営みから (人間選書)
この本はまだ買えていない。)